「便益遅延型サービス」という概念から、すぐにリターンが期待できないサービスに人々が参加する仕組みと仕掛けを考えてみる
開催回
#001
Date
2023/03/21 20:00
話題提供者
兼清慎一(山梨県立大学准教授)
ALPSCITY SEMINAR #001
すぐにリターンが期待できないサービスをどのようにして売ればいいのか?
これからの社会にとって必要なものって、逆に言えば、今の社会にはないものとも言えます。
それが本当に必要だと感じている人は、いわゆる「イノベーター」たちで、有名な「イノベーター理論」によればその割合は人口の2.5%です。
感覚的には、ほとんどすべての人にはその価値がわかっていないか、何となくわかっていても自らなにがしかのコスト(犠牲)を払って手に入れるということはしないといえるでしょう。
でも、本当に人々は、すぐにリターンが得られるものだけを買うのでしょうか?
例外として有名なのが、医療や教育の世界です。
すぐに効果が得られない上に、費用を払っている方にも相応の努力が求められます。
こうしたサービスは、「便益遅延型サービス」として知られています。
リターンがすぐに生えられないという意味では、「社会変革」に関する様々な試みは広く該当するでしょう。
「便益遅延型サービス」の分析に、この問題を解決していくためのカギがあるかもしれません。
今回のアルプスシティ・セミナーでは、上記の問題意識から、このテーマについて研究を続けている山梨県立大学の兼清慎一さんに話題提供をしていただきます。
その後、参加者で議論を行います。
耳だけの参加も歓迎しています。
【日時】
2023年3月21日(火) 20:00 - 21:30
【テーマ】
「便益遅延型サービス」という概念から、すぐにリターンが期待できないサービスに人々が参加する仕組みと仕掛けを考えてみる
【話題提供者】
兼清慎一さん(山梨県立大学准教授)
【概要】
便益(リターンが)遅れてやってくるタイプのサービスを「便益遅延型サービス」と言います。
人は何かの対価を払うと、すぐに何らかの利益を「交換」して手に入れたいと思うものです。
お金を払って、商品やサービスを買う場合、ほとんどがそのような形態です。
ところが、世の中には、すぐに便益が期待できないにもかかわらず、人々が多額のお金を費やし、「マーケット」として広く確立されている分野があります。
たとえば、医療や教育です。
お医者様にかかったからといってすぐに怪我や病気が治るわけではありませんし、もしかしたら治らないかもしれません。
学校に入学したからといって、すぐに教育の効果を得ることはできません。
お金を払って、さらに努力をして、身につくか身につかないかですし、その努力がすぐに役立たないかもしれません。
10年後や20年後にリターンが返って来るというようなケースもあるでしょう。
社会変革の分野でも、すぐにはリターンが得られないものが多くあります。
これらを受け入れてもらう上で、「便益遅延型サービス」の分析手法は何らかのヒントを与えてくれる可能性があります。
今回のセミナーでは、「『便益遅延型サービス』という概念から、すぐにリターンが期待できないサービスに人々が参加する仕組みと仕掛けを考えてみる」というテーマで議論したいと思います。