#03 「食べる」を軸にして自律的に自立した都市を実現させる

セッション3:「食べる」を軸にして自律的に自立した都市を実現させる

2025年11月23日(日) 15時00分〜16時30分
 
「食べる」は、生きていくうえで欠かせない、極めて根源的な行為です。職業選択の場面でも「食べていけるかどうか」と表現されるように、経済や生活基盤とも深く結びついています。
 
美味しいものを分かち合う時間は私たちに喜びをもたらし、適切な栄養は心身の健康を支えるなど、「食」は日常の豊かさと直結しています。
 
しかしながら現在、「食」を取り巻く状況は大きく変化しています。一見、周囲に豊かな農地が広がる地方都市であっても、スーパーマーケットには地元産の食材があまり多く並んでいないことがあります。こうした物流の課題を含め、都市が外部に食料供給を依存してきた構造は、人口減少や流通網の逼迫が進むなかで、維持が難しくなりつつあります。
 
今こそ、持続可能な形で「都市における食べる」をどのようにデザインしていくのか、改めて問い直す必要があるのではないでしょうか。「食べられる都市かどうか」という視点から現在の都市の姿を見つめ直すことで、これまで見えてこなかった課題や可能性が浮かび上がります。
 
本セッションでは、都市が自律的・自立的に「食べる」仕組みづくりに焦点を当てます。地元生産者や飲食店、学校や福祉施設、商業者、そして市民がゆるやかにつながり、地域内で食の価値が循環するとき、都市は新たな強さとしなやかさを獲得します。このテーマは、コミュニティ形成や地域経済の再生、災害時のレジリエンス向上にもつながる可能性を秘めています。
 
人としての超基本である「食べる」に改めて光を当てながら、未来の都市像について一緒に考えていきましょう。
 
【登壇者】
  • 菊地徹(栞日オーナー・店主、松本市議会議員)
  • 木内伸光(時代遅れの洋食屋おきな堂オーナー・店主)
 
【ファシリテーター】
  • 山本達也(ALPSCITY Lab 代表)
 

菊地徹(きくち・とおる)
株式会社栞日代表取締役。企画・編集・執筆。
 
1986年、静岡市出身。筑波大卒(国際関係学)。旅館、ベーカリー勤務を経て、2013年、松本市で独立系出版物を扱う書店兼喫茶〈栞日〉開業。2016年、現店舗に移転し、旧店舗で中長期滞在型の宿〈栞日INN〉開設。2020年、本店向かいの銭湯〈菊の湯〉運営継承。
ブックフェス「ALPS BOOK CAMP」、ファーマーズマーケット「街と土」、アートプロジェクト「ユアリテ」などを企画。まつもと市民芸術館の機関誌『幕があがる。』、日本まちやど協会の機関誌『日常』などの編集に携わる。地方タブロイド「MGプレス」のリレー連載「水のおと」執筆メンバー。「Community Based Economy」呼びかけ人、「Local Innovation Initiative」コーディネーターなど。

山本達也(やまもと・たつや)
ALPSCITY Lab 代表。清泉女子大学学長/教授。
 
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士(政策・メディア)。
専攻は、公共政策論、民主主義論、情報社会論など。技術と社会変動に関する政治と政策の研究に関心がある。
20世紀的な大都市の時代から、21世紀的な自然環境と都市文化とのバランスの取れた中小都市の時代がやってくると考え、2012年から家族で生活の拠点を松本市に移す。
ALPSCITY Labを立ち上げ<Digital meets Local>な研究実践を信州まつもとエリアを中心に行う。信州まつもとエリアのデジタル地域通貨AC payコミュニティ・マネージャー。
松本市基本構想2030市民会議(座長)、松本シンカ推進会議(座長)、松本市中心市街地再設計検討会議(座長代理)、品川区環境活動推進会議(座長)、しながわSDGs推進共創プラットフォーム(座長)など。
著書に、『暮らしと世界のリデザイン:成長の限界とその先の未来』など多数。2018年よりメルマガ「半歩先通信」(無料)、2025年より、Podcast番組「山本達也のUNTITLED」配信中。