#01 地域通貨で共感資本社会の芽を育てる

セッション1:地域通貨で共感資本社会の芽を育てる

10月29日(土) 11時00分〜12時30分
 
資本主義の経済システムは、様々な発明品を生み出し、物質的な豊かさを加速させました。他方、近年の研究では、このシステムが格差を拡大させていくことも明らかとなってきています。物質的に不自由しなくなった反面、それが必ずしも精神的な幸福や人生の充実感に結びつくとは限らないということにも気がつくようになりました。
 
そんな中、新たな社会的資本として注目されるようになっているのが「共感」です。「共感」を資本とした社会、「共感資本社会」とはどのような社会なのでしょうか。なぜ、今、共感資本社会へのシフトが重要なのでしょうか。「お金」をデザインし直すことは、どのような形で共感資本社会の実現へと結びついていくのでしょうか。そもそも「お金を自由にデザインできる」とは、どういうことなのでしょうか。
 
本セッションでは、日本初の「非営利株式会社」であるeumoの代表取締役の武井浩三と、eumoのサブコミュニティである信州まつもとエリアの地域通貨AC pay(アルプスシティ・ペイ:ALPSCITY pay)を手がける山本達也とで、デジタル地域通貨がどのように共感資本社会の芽を育てようとしているのか議論していきます。
 
【登壇者】
  • 武井浩三(非営利株式会社eumo 代表取締役)
  • 山本達也(AC pay コミュニティマネージャー)
 
【ファシリテーター】
  • 兼清慎一(山梨県立大学 准教授)
 

 
武井浩三(たけい・こうぞう)
社会活動家。社会システムデザイナー。非営利株式会社代表eumo代表取締役。
高校卒業後ミュージシャンを志し渡米、Citrus College芸術学部音楽学科を卒業。帰国後にCDデビュー。アメリカでの体験から起業するも、倒産・事業売却を経験。
「関わるもの全てに貢献することが企業の使命」と考えを新たにし、2007年にダイヤモンドメディア株式会社を創業。独自の「管理しないマネジメント思想」は次世代型企業として注目を集める。
組織論に留まらず、「自律分散・循環経済・繋がり」をキーワードに、持続可能な社会システムや貨幣経済以外の経済圏など、社会の新しい在り方を実現するための研究・活動を多数行なっている。
2017年には「ホワイト企業大賞」を受賞。ティール組織・ホラクラシー経営等、自律分散型経営の日本における第一人者としてメディアへの寄稿・講演・組織支援などを行う。

 
山本達也(やまもと・たつや)
ALPSCITY Lab 代表。信州まつもとエリアのデジタル地域通貨AC payコミュニティ・マネージャー。清泉女子大学地球市民学科教授。
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士(政策・メディア)。
「技術と社会変動」に関する政治と政策をテーマに幅広く研究を行う。専門は、国際関係論、公共政策論、情報社会論。
自律・分散・協調型の社会システムにおける中小都市の役割に注目し、テクノロジー(技術)を組み込みながら自然と都市文化とが融合した都市のデザインに関するプロジェクトに取り組む。
20世紀的な大都市の時代は終わりを遂げようとしており、次の時代に面白い都市は、自然環境と都市文化とのミックスこそが重要との信念から、2012年より生活の拠点を長野県松本市に移す。
松本市基本構想2030市民会議座長、松本シンカ推進会議座長、日本工学アカデミー人類未来戦略フォーラム委員、日本学術会議エネルギーと科学技術に関する分科会エネルギーガバナンス小委員会委員品川区環境計画等改訂協議会副会長など。
著書に、『暮らしと世界のリデザイン:成長の限界とその先の未来』など多数。

 
兼清慎一(かねきよ・しんいち)
山梨県立大学国際政策学部准教授。北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科知識科学領域博士後期課程所属。修士(知識科学)。
慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、NHKに記者として入局。フランクフルト支局長、ロンドン支局長、報道局ネットワーク報道部チーフプロデューサー、ニュース番組・ニュースサイト編集責任者等を歴任。
移住と地方での生活と転職を体験してみたいと考え、2015年にNHKを退局し、八ヶ岳南麓の山梨県北杜市に移住。その後東京との二拠点居住にシフトし、現在に至る。
大学院では、文化人類学の知見を実務に応用する「ビジネスエスノグラフィ」の第一人者である伊藤泰信教授の研究室に所属。AC Payの立ち上げのオンラインイベントに参加し、「通貨が3か月で失効する=貯めない。決済と同時に贈与できる=贈る」というコンセプトに驚き、AC Payを研究対象として立ち上げ初期から調査を続けている。